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2015年6月23日 (火)

【あまちゃん】京都大学未来フォーラムに参加【訓覇P】

6月22日、京都大学で開催された、第63回京都大学未来フォーラムに参加してきた。
講師は『あまちゃん』の制作統括を務めた、訓覇圭さんで、「TVドラマの作り方〜プロデューサーの現場から〜」と銘打った公演だった。

この「京都大学未来フォーラム」であるが、京都大学の卒業生による、京都大学の在学生を対象とした、将来の進路を考える指針としての講座という側面と、市民に向けた公開講座という二つの側面を持つもののようである。

まず、あらかじめ参加者には、『あまちゃん』第1週第1回の脚本が配られた。製本こそされていないが、市販のシナリオ集と違って、シーン番号やページ数も振られた、本物の脚本と同じ構成のものである。
講演の途中で、この脚本にそって話が進められる部分があった。
この記事を読む上でも、シナリオ集を見て読んだ方がわかりやすいと思う。

以下、公演の中身を記録していく。
過去に訓覇さんが語った話と重複している部分も多いので、新鮮味に欠ける話かもしれない。
例えば、『KANEYANのブログ』さんの、「あまちゃん」チーフプロデューサ訓覇氏のワークショップの受講レポート【第1部】【第2部】【第3部】あたりが、非常にボリュームも多いと思うし、私の稚拙な文章なんかよりよっぽど臨場感がある。

・公演は難しい。対談だと軌道修正してもらえるので楽。
・テレビはどうあるべきか、という話ではなく、現場の話、こんな風に作ってます、という話をしていきたい。
・『あまちゃん』を1回も見ていないと退屈かもしれない。『あまちゃん』見たことある人、と問いかけ。私は一般の前方座席に座っていたので、京大在学生の席しか見えなかったのだが、8割がた手を挙げていた模様。おそらく一般席はほとんどが見ていたのではないかと思われる。
・朝ドラは1回15分、1週90分で、1週が短い映画くらいの長さ、それが26週続き、26本の映画を撮るようなもの。それを1分半にまとめたVTRがあるので見せる。

【VTR再生】

・無茶苦茶ですね(笑)
・プロデューサーの仕事は、企画、脚本家を選ぶ、キャスティングをする、並行して脚本を作る、スタッフを選ぶ、撮影の場所選び、交渉、編集、録音、ダビングして完成、完成後は苦情処理。
・自分ではなにもやらない仕事。人にやってもらう仕事。だから人と向き合うのが大事。

・『あまちゃん』の企画を始めたのは震災の2〜3ヶ月後。自分を含めてみんなが笑えるもの、元気になれるものを作りたいと思って、宮藤官九郎さんだと思った。
・宮藤さんと会って、はじめに「フィクションだけは明るいものにしたいですよね」と話したのを覚えている。
・2回目の打ち合わせでコアなコンセプトはできていた。宮藤さんが「田舎がやりたいですね」といって、「それなら町おこしとか」という話をしたところ、普通だったら温泉が湧くといった話になるところ、地元アイドルというのが宮藤さんの発想だった。お母さんもアイドルを目指していて、お母さんはなれなくて、「ママもアイドル」というのが当初のタイトルだった。
・宮藤さんが「方言が書きたい」と言われた。方言の持つ明るさを宮藤さんは理解していた。宮藤さんが書ける方言が東北だったので、舞台も東北になった。
・1ヶ月くらい取材や、シナリオハンティングと呼ばれる作業を訓覇さんとチーフディレクターの井上さんで行った。平泉、松島などを経て、最終的に久慈に行き着いた。
・最初の印象は「裏切られた」(笑)
・町に行ったら一番高いところに行くというのが基本(ここから何枚かの写真を見せながら)絶望的な光景だった(巽山公園からの眺め)。普通の町。車しか走っていない。マスターショット(町の中心街の写真)からは駅が見えない。駅もがっかり。駅前に「駅前デパート」という建物があるがテナントはない。夜はスナックはない。(小袖海岸の写真)微妙でしょ?(海女さんの昔の写真)かっこよかった。
・海女さんの方言の8〜9割は、聞き取れなかった。(ここで「じぇ」のはなしもでる)。とにかく人が面白かった。東北の男性は、いい人でシャイな人が多い。1984年に三陸鉄道が開通したという話で、(アイドル黄金期ということで)アイドルの話とつながると思った。三陸鉄道の社員で、1984年に新人だった人の昔話が熱かった。
・その後、宮藤さんと一緒に久慈に行く。まめぶを食べた。「甘いものが入ってる必要あるんですかね」琥珀「何か微妙ですね」熱に弱くて使い道が少ない、といった話で、宮藤さんは「ここは残念な町ですね」という感想を残される。プロデューサーにとってこの町を舞台にするのはなかなかの決断だったが、宮藤さんが、「選ばれた町です。だって遠いもん」ということを言われ、なにか今までにないものが作れそうな予感がした。

・ここで、先ほど配られた脚本について、読み方を含めて解説し、何人かの京大生に読んだ感想を聞く。一人の京大生が「アキちゃんのセリフが少ない」というと、訓覇さんは「あなたすごいわ」という。
・プロデューサーが脚本を最初に読む。むちゃくちゃ面白かった。セリフがいきいきとしていた。例えば、「大吉のしみったれた話」という夏のナレーションを見て、これだ、と思った。
・朝ドラのナレーションはドラマ全体の視点を表している。「田舎は大変」ということに普通は寄り添うが、寄り添わないで「しみったれた話」という言い方をしていた。全156話のトーンがここにある、すごいと思った。
・朝ドラに限らず、連ドラ第1回の基本は、メインタイトルの前にそのドラマのやろうとしていることをどれだけ示せるか、ということ。『あまちゃん』では、ナレーションだけでドラマの主題をわかりやすく説明している。「娘は町を出て行きました」「この町へ帰ってきました。ひとり娘のアキを連れて」これで三世代をテーマにしていることがわかる。
・2シーン目にいきなり歌のシーンがある。これはプロデューサーにとっては暴力的な展開。選曲は絶妙。アイドルがテーマということで松田聖子、チェッカーズ、そして『俺ら東京さ行ぐだ』と春子の気持ちを表している。
・歌が出てくると(脚本では「1984年のヒット曲(テレビ画面・ダイジェスト)」としか書かれていないので)それがどういう画面に流れているかということをプロデューサーは考える。その結果、のちに重要な意味を持つ「春子の部屋」が出てくる。
・もうひとつ、「権利クリアが大変だ」ということも考える(これがこのペースで続くのか、という意味もあり)。
・第1回の最後で、アキがおばあちゃんと出会って「かっけー」という。お母さんが嫌いだったものを好きになっていくストーリーを示唆する。「異化効果」
・この脚本の弱点は、主役が弱いこと。これは、計画してやっている。朝ドラはほぼ素人の子がやるものなので、徐々にセリフを増やしていっている。また、東京ではパッとしない元気でない女の子ということを示している。
・シーン20(天野家・居間/縁側に出て、海の方を眺め、ため息をつく春子)は重要なシーン。母親とおばあちゃんがどういう思いなのか。
・第1回は、人物を紹介する本であるのと同時に、セットを紹介する本でもある。朝ドラはセットが命であるので、メインセットを紹介していく。駅舎、観光協会、漁協、天野家。観光協会→残念な町、ジオラマを作っている協会長。漁協→海女軍団、強烈な方言。普通字幕を出すと視聴率が落ちるが、(普通に分かる方言だけだと)嘘になるので、字幕がないとわからないヘビーな方言から、普通にわかる方言まで、三段階の方言を作った。
・「じぇ」は宮藤さんの思いつきの絵文字が発展して、流行語大賞まで取った。

【第1回フル放送】

・シナリオを読んでから15分見るとドラマってこういうものだと実感できるかなと思う。

・震災のことをよく聞かれる。
・一番誤解されたくないのは東北だけ元気になってほしいという気持ちでやっているのではない。
・東北の震災は、ヘビーな光景で、そこを舞台にコメディをやっていいのか悩んだ。盛岡局のプロデューサーに「ありとあらゆる悲しいものを見た。死体は見尽くした。だから楽しいものをやってくれ」と言われた。一方あの日のことを思い出したくないという人もいる。NHKはありとあらゆる人が見るから、その方々が見て大変なことになってはいけない。
・フィクションの難しさ。震災があると、まずニュースがあって、歌(で震災を励ます)という流れになる。フィクションは嘘だから時間を置かないとやれない。例えば南三陸でアナウンスをしていて亡くなられた方の話を、半年後にフィクションでやると怒られるが、三年後、五年後になってやると…ということがある。

【『あまちゃん』が3・11をどう描いたか(第133回ダイジェスト)】
・ジオラマ
・畑野トンネル
・TVを見ている光景

・2年前、一切被災地の絵は見せないでやっている。ジオラマでやっている。ジオラマは町の思いを背負っているから。
・優希(美青)さんという被災者をキャスティングすることはいいことなのか、それが現場に与える影響を考えた。
・薬師丸さんの歌のシーンは、(北三陸が舞台という設定で東京のスタジオで撮影しているが)東北の人をエキストラで呼んでいる。相乗効果が何か考えた。

【被災地のシーン(第134回ダイジェスト)】
・エキストラは地元の方を使っている。震災については事実以外はやっていない。鉄道の話はオール事実。
・(被災地の絵は見せない方針だが)1つ見せないと復活に向かって上がっていくシーンにできない。
・エキストラの方は被災した時と同じ格好と動きをしている。
・そのことで役者の動きが変わってくる。
・3月11日のシーンを仮設住宅で「見れない」という人がいたがその人の周りの人が「大丈夫だったで」と言ってくれた

・色んな人が色んな目線で見るということを念頭に作っている。
・人に向かってものを作っている。

◯Q&A
Q.ドラマを作る上での判断時期は?
A.選択した時にそれがどんな理由だったのかを忘れないこと。いろいろな人が見たいものを作るのが基本だが、自分は自分が見たいものを作る。自分が面白くないものは出せない。

Q.ドラマを作った後それをどう扱うのか。『あまちゃん』では紅白があったが、作品によっては続編という話もある。
A.しゃべれる話としゃべれない話がある。これ以上のものが作れる自信がないのでやらない。やれない。

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