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2015年5月17日 (日)

【ヤメゴク】暴力団対策法と使用者責任

【ヤメゴク】暴力団対策法と使用者責任(改訂版)を作成した。
『ヤメゴク』、「ドラマの設定が現実の法でどうなってるのか」シリーズ(そんなものあるのか)である。

今回は、麦秋が度々口にする、「使用者責任で(組長の)橘勲を逮捕する」という言葉についてである。

一般的に使用者責任とは、民法の用語である。「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」、通称「暴力団対策法」もしくは「暴対法」では、第三十一条から第三十一条の三がこれに該当し、平成20年に施行された。
この条文は、指定暴力団の代表者等(当該暴力団を代表する者又はその運営を支配する地位にある者)に対して、対立抗争による暴力行為等によって他人の生命、身体又は財産を侵害した場合、生じた損害を賠償する責任を負わせるものである
つまり、民事上の責任を負わせるものであり、これによって暴力団員の犯罪行為によって指定暴力団の代表者等に刑事罰が下せる、つまり、逮捕できるというものではない

これに対して刑法では、犯罪を実行したもの(正犯)が刑罰を受けるのが原則であり、そうでない場合は、共犯、間接正犯、教唆犯などの規定が刑法に規定されている。これらは全く正犯の犯罪に関与することのないものの刑事責任が問えるものではない。

実際に手を下していない指定暴力団の代表者等に対して刑事罰が下るのは、次のような場合がある。

第十二条の二で、指定暴力団等の業務であって、収益を目的とするもの(同条第一項第二号)に関して、指定暴力団員が暴力的要求行為をした場合つまり、指定暴力団の威力を示して金品等の供給をすることをした場合、公安委員会が一年を超えない範囲内で暴力的要求行為が行われるのを防止するために必要な事項を命ずることができる。
この命令をするためには、第三十四条において、公開の意見徴収をしたうえで行わなければならない。
そして、この命令に違反した場合、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金又はその両方が課せられる。
つまり、意見徴収→命令→違反→罰則、という流れになる。命令を受けて以降は、代表者等の「命令に反する」という事実があって、罰則が下るのである。

何が言いたいかというと、「指定暴力団員の行為で、代表者である組長が関与していない行為について、組長を逮捕する」という行為の法的根拠を調べることができなかった。

そもそも、ドラマ『相棒』でリアリズムを追求した刑事ドラマを書いた櫻井武晴さんである。『ヤメゴク』においても、法律関係のリアリティは異常と言っていいくらい凝っている。このドラマの要と言っていい「使用者責任」で、私が見落としている法律が何か、あるのかもしれない。
そうでなければ、意図的にフィクションとして、「刑法上の『使用者責任』」という『ヤメゴク』の中だけの設定を、作り上げたのだろうか。

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